Infomation
近年では「自己啓発セミナー」という言葉自体が「あやしいイベント」とニアリーイコールになっているため、現存する自己啓発セミナー団体はみずからを名乗る際にこの語を使わなくなってきています。 しかし米国で発生した流れを汲んでセミナーを開催しているところは多々あり、これらには現在でも支持者が存在します。身近な人から勧誘を受けることもあり、注意が必要です。
▼主な自己啓発セミナーは、下記の手順で進行します。 ▼
★受講に至る経緯
受講に至る経緯には2種類あります。 セミナー関係者の著作・広告に記されているホームページアドレスからセミナー申し込みをするような「自発的受講」、それから過去に受講経験がある知人・友人もしくは他人からの「勧誘」です。 問題に発展することが多いのは後者の「勧誘」によって受講まで至った場合です。 具体的にどういった事柄に関するセミナーか、メニューを話すケースはほとんどなく、「高名な経営者が人前で話すめずらしい機会だから」と貴重さを強調したり、「どうしても行きたいけれど一人では行きにくいから」とあくまでも連れて行ってほしいと依頼したりすることがあります。 しかしこれらはすでに一連のセミナーを受講し、勧誘というステップに到達している受講者からの誘いであることが少なくありません。彼らは「あくまでも参加・不参加は自分次第」という点を繰り返しつつも、巧みに受講へと導きます。
★セミナー内容
「人間関係をポジティブに改善できるようになる」「部下が熱意をもって仕事に取り組むようになる」など、セミナーを修了することによって得られるメリットとしては、およそ中小企業経営者や管理職にとって魅力的に映るものが明示されます。 これらの多くは「心構え」や「考え方」などの根本的な人間心理に言及するものから始まり、「危機管理」「社風の明確化」といった経営学のさわりを説明することで、「心の持ち方次第でデキるビジネスマンになれる」というストーリーを暗示します。 実際には経営戦略の基礎理論とモチベーションコントロールを掛け合わせたようなものであることが多く、こうした知識は書籍で仕入れた場合、本来数千円で済むものばかりです。セミナーは数万円から数十万円を受講費として徴収します。これを「高いから内容がすばらしい」と捉える人もいますが、根拠不明の金額設定である場合がほとんどです。
★勧誘ノルマ
セミナーで獲得した「生まれ変わった自分・新しい自分」を自覚することなどを目的として、知人や友人をセミナーに勧誘するというテーマが課せられることがあります。ただしいくら生まれ変わっていたとしても、手当たり次第に声をかけるといった行動をしがちなのが営業の素人。いきなり受講者を獲得するのは難しいのが現実です。勧誘がはかどらなければセミナー主催者からは圧力がかかりますし、へたに勧誘に注力しすぎても周囲から避けられるばかりで、勧誘もなかなか容易ではありません。 このような勧誘ノルマから逃れることができず、精神的に追い詰められる場合があります。それでも本人は「弱い自分」「負けた現実」を認めることができないような思考回路をインプットされているので、自分自身の不調に気づくのが遅くなりがちです。
★問題点
自己啓発セミナーを行うのは精神・心の専門家でないにもかかわらず、精神科学・心理学の専門領域で研究されている事柄を扱うセミナーがほとんどです。人間の心理機序にまつわる事象を素人が素人に指導ことは、転移・乖離などの思わぬストレス障害を引き起こす危険性も孕んでおり、安全なセミナーばかりではないことが問題点として挙げられます。 さらに、こうしたセミナーの多くは高額のテキスト代・受講費を請求しますが、勧誘に対する見返りはありません。そのため自分の時間と労力を常識の範囲を超えて費やし、セミナーに貢献する受講者もおり、対価のアンバランス性がゆくゆくトラブルに繋がります。 こういったトラブルが噴出した場合、セミナー主催側はたいてい「金銭で計上できない尊い経験をする機会を提供している」と釈明します。しかし金額に算出根拠がないということ自体、金額設定が論拠に欠けることの証明でもあります。 受講者は生徒であると同時に消費者です。昨今では悪質な自己啓発セミナーについての報道加熱が沈静化していることもあり、悪質か否かの判断は自分自身で行わねばなりません。判断が必要となった時には客観的な意見を求めるなどして、正しい消費を行うよう心がけたいものです。

